『X68電源装置を斬る』タイトル
注1:いや、本当に切っちゃ動かなくなるから・・・。
注2:本当は、電源装置にモトローラは入っていません。


0.更新履歴


1.はじめに

 『X68の電源装置が飛びました(壊れました)』・・そんな話を良く聞きます。 『X68の電源装置は弱い』・・本当にそうなのでしょうか? このページでは、実際に筆者が経験した故障例、復活の為のDIYの経験等を通し、X680x0シリーズの電源装置について、あれこれ書いていきます。

 電源装置などの修理・実験は大変危険が伴うものです。 その危険性を認識できない方は作業なさらないようお願いします。 このページの情報を利用した・しなかった事による、あらゆる損害・負傷などについては責任を負いませんので、予めご了解の上、ご利用ください。

 電解コンデンサ等に使われている電解液には毒性があり、人体に有害です。 間違って、電解液が皮膚・目・頭髪など人体に付着した場合は、すぐ水洗いし、医師に相談してください。

 電解コンデンサには極性があります。 電解コンデンサ実装時に極性を誤ると破裂して危険です。 くれぐれも極性を間違えないように注意して下さい。


2.X68電源装置が抱える問題点

 まず、既に長期間使用しているという事。 自作ソフトの退治し尽くせないバグを72時間追いつづけるとか、新作ゲームを夏コミに間に合わなかったから死んでも冬コミに間に合わせるとか言って大学に8年在籍しても完成させるとか、グラ4で3面をイヂでもクリアするとか、超連射は10周デフォ(Ver1.00で2周エンドになってますぅ:情報提供 彩寂 水凛さん)だろとか・・・。 あいやー、皆さん激しいです。 そりゃ、X68じゃなくても白帯ならぬ、白旗揚げて降参デスヨ・・・。 たまーに起動してる状態と言っても、10年選手でしょ?(汗

 次に、当時、流行だった高性能電解コンデンサを採用している事。 普通なら、単価の高い高性能電解コンデンサを採用と言えば大歓迎なのですが、この電解コンデンサは電解液に4級塩を使用した既知の問題を抱えるものです。

 参考URL:
 http://www.necinfrontia.co.jp/press/back_no/98october/mkez.htm
 http://www.omron.co.jp/omtec/127-12.html
 技術情報 にゃんさん (捨身なXPS倶楽部MLより)

 上記しましたように、X680x0の純正電源装置は経年劣化と化学的に問題のある電解コンデンサのダブルパンチを受けているようなモノです。 現在も使用しているユーザーに無用な不安感を与えるようでは困るのですが、転ばぬ先の杖として、現在も調子がよいX68電源装置も上記した理由で電解コンデンサの総取替えはやっておいた方が安心だと思います。


3.X68電源装置の故障原因

 やはり、電解コンデンサが原因である事が一番多いです。 私の手元で故障したX68電源装置は全て、これが原因でした。

 もともと、電解コンデンサには寿命がありますが、X68の場合はその寿命時間にも当然のように抵触する訳ですが、上記したように電源を投入して使った時間とはまた別のファクターもあり、頭の痛いところです。

 電解コンデンサがショートする等して起きた故障では、電解コンデンサ以外の他の部品に及ぼす影響が非常に大きく、電解コンデンサの全交換だけでは直らない場合が殆どです。 電気回路の点検・工作・修理に不慣れな方はやはり、壊れる前のケアである、電解コンデンサの早めの交換をお勧めします。

 ある程度経験のある方は、テスタ等を使って個々の部品の電気的役割が正常であるかチェックする事で修理可能だと思います。 その時、通電状態でチェックするのは危険ですので絶対にやめましょう。 通電状態をチェックしたい場合は、電源ケースを元通りに組みなおした状態で、X680x0本体側に挿すコネクタ部分で電圧チェック等をすると少しは安全でしょう。

 なお、ご自分で修理なさる場合にはまず初めに、電解コンデンサの全てを新品に交換する事をおすすめします。 電解コンデンサに見た目の電解液洩れが発見されなくても、揮発する等して容量が減少していたりして、再発する恐れが高い為です。


電解コンデンサ頭頂部からの液洩れの例(赤線で囲った部分)
拡大写真
洗浄液を吹いたところ、電解コンデンサの頭頂部が破損していたようで電解液が滲み出てきたようです。
よく見たら、小さいほうの電解コンデンサの頭頂部が膨らんで今にも破裂しそうです。

4.X68電源装置復活の為の傾向と対策

 電解コンデンサが容量抜けを起しショートしてしまった場合、一概にその傾向と対策を示すのは難しいのですが、ひとまず全ての電解コンデンサは交換の対象となります。 その他、X68電源装置に使われている抵抗は、設定された電気量を越えると溶解して電気を遮断するものが使われていますので、抵抗の形が崩れていたり、被覆が剥がれているものは交換しましょう。 『見た目に焦げているから交換』というのとは少し違いますので、御注意で〜す。 『焦げている』のか、『煤けている』だけなのか、冷静に判断しましょう。 もちろん、テスタ等を持っていて技術的な部分が理解できる方は全部の部品をチェックしちゃいましょう! の〜んびり1週間かけて点検するのも楽しいですヨ! やはり68は優雅に楽しまなくチャ!(ぉぃ

 以下に示しますのは、当方で経験したり、寄せられた情報から症状と破損しやすい個所を列挙したものです。


5.X68電源装置で使用する部品について

 X68電源装置で使用されている部品はその大半が汎用のモノで代用でき、今後の部品入手にも不安はありません。 トランスだけは流石に特注品ですが、壊れにくい部分ですし、拘る方は自分で手巻きしてしまえば、用意できない訳ではないです。

 やる気と根気があれば必ず『復活』できます。 頑張っちゃいまっしょー!


6.X68電源装置の改修に関わる主要部品表

X68電源装置 部品番号 部品の詳細 補足 標準的な単価(税別)
F1 125V 4A ヒューズ ミゼットタイプ(MZ)小さい方 30円
ZD31 RD6.8EB等 6.8V定電圧ツェナーダイオード 15円
ZD32 RD4.3EB等 4.3V定電圧ツェナーダイオード 15円
ZD51 RD15EB等 15V定電圧ツェナーダイオード 15円
PC31, PC51 PC8170, TLP521-1等 各メーカーで同等品豊富 60円
PC52 S12MD1, TLP541G等 各メーカーで同等品豊富 180円
Q31 2SC2333 / 2SC2335   250円
Q32, Q33, Q53 2SC1815Y 純正も Y グレードです。Yグレードで十分です。 一個15円
C9 200V470μF 105℃品等 実装高41mm以下 直径25.8mm以下でないとケース・基板に収まらないし、実装高さを守らないと電解コンデンサ破裂時に安全を確保できない 純正では180V470μF 85℃ 600円〜700円
C24 25V1000μF 105℃   130円
C25 16V1000μF 105℃ ↑の25Vを使ってもよいかも 純正:16V680μF 100円
C27 25V220μF 105℃ 純正:25V120μF 50円
C28 16V100μF 105℃(OS-CON可)   ??円 OS-CON(XPS在庫200円:SANYO直販202円)
C31 16V100μF 105℃(OS-CON可) 純正:10V100μF ??円 OS-CON同上
C33 16V220μF 105℃ C27と同じ25V品でも可 50円
C34 10V100μF 105℃ 純正:6.3V100μF SSシリーズのOS-CON 10V100μFならば可との情報あり(6.3mm×9.8mm)情報提供 RUNさん
XPS在庫のOS-CONも斜めに実装すれば可参考資料
30円
C35 50V10μF 105℃ 純正:25V10μF 30円 (PF:20円)
C38 50V3.3μF 105℃   40円
C40, C41 16V6800μF 105℃ 純正:10V5600μF 380円 x 2
C42 10V2200μF 105℃ 純正:6.3V2200μF 100円
R33, R34 100Ω 1/6W 金属被覆 新小型   一個20円
R35 3Ω 1/4W 金属被覆 純正:3.3Ω 20円
R40 2KΩ 1/6W 金属被覆   20円
R98 2.2KΩ 1/4W 金属被覆 新小型 純正:1/6W 20円
2pinFANコネクタ モレックス 5102-02   20個260円
2pinFANコネクタ用端子 モレックス 5102用 5103-PBTL   50個500円
下部基板へのコネクタ(EXPERT系[EXPERT2/SUPER/XVI/030]) 日圧 VHR-6N   20円 ピン10円
メイン基板へのコネクタ モレックス 5239-02(5195-02の可能性有)   50円 ピン10円
FDD・HDD用コネクタ AMP 0-0171822-3   20円 ピン(170204-1) 10円

 上記した電解コンデンサでは元々の容量よりも多かったり、耐圧が高いものを示してますが、この程度ならば問題ありません。 C40, C41 のように並列に並んでいる電解コンデンサは同じ容量のモノにして下さい。 電解コンデンサは耐圧が高い方が有利ですがサイズが大きくなりますので、電源装置に収まるものを選びましょう。

 (定電圧)ツェナーダイオードの電圧表記は中間電圧です。一定の誤差範囲があります。後述する『X68電源装置情報リンク』にあるページの記述にあるツェナーダイオードを使っても問題ありません。


上記部品表にある部品での『調理例』
ちょっと拡大写真
だいぶ拡大写真

7.部品交換後、電源装置を本体に戻す前に必ず行って欲しいチェック

 電源装置のカバーを元の形に組んだ状態で通電し、各端子の電圧をテスタでチェックしましょう。

 機種毎の端子についてはSata.さんの資料を参考にして下さい。

 PC(パワーコントロール)端子とGND間の電圧は1.3V付近、各端子の電圧が高かったり、低かったりしない事をチェックしましょう。

 電源装置内部から人間の耳で聞こえる範囲の高周波の発信がないか、ガンガン流している 68のテーマMDX を止めて、よーく聞いて下さい。 この時電源装置に耳や顔を近づける事は危険なのでやめて下さい。


8.X68電源装置情報リンク


9.X68電源装置の『裏技』(危険度68000)

 ここで紹介するX68電源装置の『裏技』と称するモノはゲームラボ級よりも大変危険です。 技術的に理解できる方、既に相応の経験のある方でなければやらない方がよいでしょう。

 ☆ MAIN電源 +5V の基準電圧を上げます ☆

 Vo = (1+(R99/R100)×2.5

 ノーマルでは、5.2V付近になっています。

☆ 総出力増加 ☆

 電流制限値を決めてる抵抗R5ですが、この抵抗を減らすと(たとえば、0.22とか)総出力ふえまーす。 68電源の+12V系は、IC22−3122なので、電流値縛られてますので、+12は、増えませんが。 3122以上の容量の物は、リニアテクノロジーにあったと思いますが、いずれにしても、リニアレギュレータなので、発熱を防ぐ事は出来ないでしょうが。 あと、FETを最近のに換えるといいかも・・・日立のは、結構お勧めだとおもいます。 しかし、あんまり過度の性能追求は、まずい(FETが飛んでくるかも)ですが。 元の回路のままで、いろいろやるのは、あまりお勧めできないような・・・

 ここに書いたようなチューニング(改造)を行った場合、冷却には細心の注意を払って下さい。 電源装置に内蔵するFANは高速回転の風量を十分確保したものを装着するようにしましょう。 また、X68本体の冷却にも気をつけないと、特に夏場等はデンジャラスゾーンへまっしぐらです。 ハイソにカバーを付けて・・そう思う方は上記したような事はなさらないようにお願いします。 同じ燃やすなら、私ならAthlonXP1800+とかをアフターファイヤーしたいです(笑

 当然ですが、純正の回路構成では大幅な電圧上昇と出力増加には耐えられません。 必要に迫られた状況でない限り、上記で紹介したチューニングは犠牲にするものが大きいのでお勧めできません。

 あくまでも自己責任において判断して行って下さい。 電圧を上げたからといって良い効能が得られるとは限りません。 電源装置は何度でも修理可能ですが、本体側のダメージで貴重な68を壊してしまったり、危険な作業で怪我をしてしまっては取り返しがつきませんので、作業を行う前に十分考えましょう。


A.私的雑感

 X68電源装置を修理ing(読み:しゅ〜りんぐ)していて思うのですが、もし電解コンデンサが短路(ショート)しなかったら故障しなかったんじゃないか? なんて思えたりします。 いえ別にX68純正電源至上主義みたいなのはないのですが、原因を冷静に見てみると、『X68純正電源装置も捨てたもんじゃないな』と思えるんですよね。

 4級塩のゴムを侵す電解液さえ使われなければ・・・。

 また、私も素人で最初は良く分からなかったのですが、X680x0シリーズで使われている電源装置の中身の部品を個々よく見ていくと、高級なモノ(小型で金属皮膜の抵抗等)が使われていたり、故障が起きてもその被害を最小限に留めようとする心配りが感じられます。 

 皆さんはどうお感じになりましたでしょうか。 御意見お待ちしております。


B.さいごに

 このページの内容を纏めるのに様々な方の御協力を頂きました。 特に当方の電源修理の際にはXPS-MLに参加されている にゃんさんから多くの技術的アドバイスを頂きました。 この文書の一部には にゃんさんの文章をそのまま抜粋させて頂きました。 また氏にはX68内蔵強化電源を新設計して頂いており、4月に予定されている試作を楽しみにしております。 これからも御指導・御教授よろしくお願い致します。

 X68電源装置に関わる質問等は、電源系掲示板でも受け付けておりますので、電源にまつわるお話はこちらでどうぞ!

 実は私、電源装置の修理はあまり経験がありませんで、はるか昔2〜3回、他の電源装置を犠牲にして部品交換を行った事がある位でしたが、今回ご紹介したように改修する事で手元の電源装置の全てを復活させる事ができました。 回路図などの有用な情報があれば、時間を掛けて慎重に作業する事で修理可能ではないかと感じ、こうしたページを用意するに至りました。

 SHARPの人に調べて頂いたのですが、X68電源装置のユニットはSHARPでの在庫は無く、修理は受け付けて頂けるそうですが、相応の料金が掛かるのでDIYできる人はご自身で行った方がお得だと思います。 また、ご自身での作業が不安な方は当方でコストは高いですがピカピカになる電源装置改修を行いますので、併せてご検討下さい。

 このページの情報を含め、X68電源の改修については様々な手法がありますので、今後のX68使用にも不安は全くないと思います。 これからも安心してX680x0を楽しんでいきましょう!

 自分の手で直した電源装置で元気に動くX68を見る、その感動といったら言葉で表しきれません。 この感動を独り占めするのはなんですから、皆さんも是非、ご一緒に!

X68電源装置復活談や御意見、技術的・日本語の誤りのご指摘、情報追加等は大歓迎です。
下記のメールアドレスまでお願いします。
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